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村上龍の「透明に近いブルー」に私の評価が低いです。しかし、その中の一段落はとても気に入ります。主人公のリュウがドライブのことを話している部分です。

「その走ってる車の中でね、色々考えるだろう?……するとその考えが車から見る動いていく景色と重なっていくわけ。家とか畑がどんどん近くなって、また後ろに遠さかるだろう?それで風景と頭の中が混じり合うんだよ……何て言うか一つの写真、記念写真みたいな情景を作り上げるんだ……新しく目に飛び込んでくる気色をどんどんその写真の中に加えていって、最後にはその写真の中の人間達が喋ったり歌ったり動くようにするわけさ…….すると必ずね、必ずものすごくでっかい宮殿みたいなものになるんだ。」

自分の目もそれと同じくて、ただ観察役しか果たさないです。でも観察対象は動く人間でなく、風景でもなく、本にしか生きられない人物たちです。それらを見ることによって築いた観念の世界-自分の宮殿で私が生きています。外面からの攻撃に当たって、自我毀壊を恐れるため戦場から逃れて、宮殿を閑居できる場所に移すのはよくあることです。ひどい攻撃を当たった場合は、たとえば身体的衝撃とか、宮殿に頼って元のままに返すしかできません。長く間宮殿に依存過ぎる結果は、宮殿から離れなくなって、捕られていて閉じられる状態にいます。宮殿内には、私しかいません。そこに、徘徊しているのは三島、ニーチェなどの亡霊たちでした。そこに立ち入ることができるのは、ただの一人です。でも、君ではありません……私のブルーは透明に近いので、外から見れば見えないですが、確かに存在していました。

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    saisan 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()